日本で長く生活している外国人の方にとって、「永住許可」は大きな目標の一つです。
永住許可を取得すると、在留期間の更新が不要になり、就労制限もなくなるため、日本での生活・仕事・家族形成の安定性が大きく高まります。
一方で、永住許可申請は、単に「日本に長く住んでいる」というだけで許可されるものではありません。出入国在留管理庁のガイドライン上も、素行善良要件、独立生計要件、国益適合要件などが定められており、在留状況、収入、納税、年金、健康保険、各種届出の履行状況などが総合的に審査されます。
この記事では、永住許可申請で特に問題になりやすいポイントを、ビザ専門行政書士の視点から解説します。
1. 永住許可申請は「長く住んでいれば大丈夫」ではない
永住許可の基本的な考え方として、原則として引き続き10年以上日本に在留していることが求められます。また、そのうち一定期間は就労資格または居住資格をもって在留している必要があります。
ただし、配偶者や高度専門職などの場合には、在留年数が短縮される例外もあります。たとえば高度人材外国人として永住許可申請を行う場合、ポイント計算に基づき、70点以上または80点以上で一定期間在留していることが重要になります。
もっとも、在留年数を満たしていても、税金・年金・健康保険の支払状況、在留資格に関する届出、収入の安定性、交通違反や法令違反の有無などに問題がある場合、不許可となる可能性があります。
2. 税金・年金・健康保険の未納や納付遅れ
永住許可申請で最も注意すべきポイントの一つが、公的義務の履行状況です。
住民税、所得税、年金、健康保険などについて、未納がある場合はもちろん、納付期限に1日でも遅れている場合も審査上マイナスに評価されます。
特に近年の永住審査では、「最終的に支払っているか」だけではなく、「期限どおりに支払っているか」も重要視される傾向があります。
会社員の方で給与から住民税や社会保険料が天引きされている場合は比較的確認しやすいですが、転職・退職・個人事業主期間・会社経営期間がある方は、納付漏れや切替漏れがないか慎重に確認する必要があります。
3. 年収が安定していない、扶養人数に対して収入が低い
永住許可申請では、申請人が日本で安定して生活できるかどうかも審査されます。
単に現在の年収だけでなく、過去数年間の収入の推移、扶養家族の人数、雇用形態、勤務先の安定性などが総合的に見られます。
たとえば、本人の年収が一定程度あっても、扶養家族が多い場合には、家族全体の生活を安定して維持できるかが問題になります。
また、転職直後、起業直後、役員報酬が低い場合、フリーランス収入が不安定な場合などは、通常よりも慎重な説明資料が必要になることがあります。
4. 転職・退職・所属機関変更の届出漏れ
就労ビザを持っている外国人の方は、勤務先を退職した場合や、新しい会社に転職した場合などに、出入国在留管理庁への届出が必要になることがあります。
この届出を忘れていた場合、永住許可申請で問題になることがあります。
実務上も、永住申請の準備段階で過去の転職歴を確認すると、所属機関に関する届出をしていなかったことが判明するケースがあります。
届出漏れがある場合は、放置せず、申請前に是正したうえで、なぜ届出が遅れたのか、現在は適正に対応していることを説明する必要があります。
5. 現在の在留期間が最長ではない
永住許可のガイドラインでは、現在有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則に定められている最長の在留期間をもって在留していることが要件として示されています。
たとえば、現在の在留期間が1年の場合、他の条件を満たしていても、永住許可申請のタイミングとしては慎重に考える必要があります。
「日本に10年以上いるから申請できる」と考えていても、現在の在留期間が短い場合には、まず在留期間の更新でより長い期間を得ることを検討すべきケースもあります。
6. 交通違反・犯罪歴・入管法違反
永住許可申請では、素行が善良であることも重要な要件です。
重大な犯罪歴がある場合はもちろん、交通違反の回数が多い場合、罰金刑を受けている場合、資格外活動違反、オーバーワーク、虚偽申請などがある場合には、永住審査に大きく影響する可能性があります。
特に留学生時代に資格外活動の上限時間を超えて働いていた場合や、過去の申請内容と現在の申請内容に矛盾がある場合には、慎重な確認が必要です。
7. 海外出国が多く、日本での継続在留性に疑問がある
永住許可申請では、「引き続き日本に在留している」といえるかどうかも重要です。
仕事や家族の事情で海外出張・一時帰国が多い方の場合、日本に生活の本拠があるといえるか、継続在留性が保たれているかが問題になることがあります。
海外滞在日数が多い場合には、出国理由、勤務実態、日本での生活基盤、家族状況などを丁寧に整理して説明する必要があります。
8. 身元保証人や提出書類の不備
永住許可申請では、申請書、理由書、身元保証書、住民税関係書類、年金・健康保険関係書類、在職証明書、課税証明書、納税証明書など、申請人の状況に応じた多くの資料が必要になります。出入国在留管理庁も、申請人の在留資格類型ごとに必要書類を案内しています。
書類の不足や記載内容の不一致があると、追加資料の提出を求められたり、審査が長期化したりすることがあります。
また、書類上は形式的にそろっていても、申請人の状況に合わせた説明が不足していると、審査官に誤解を与える可能性があります。
9. 永住許可申請は「出す前の確認」が重要です
永住許可申請では、不許可になってから対応するよりも、申請前にリスクを把握し、必要な説明資料を整えることが非常に重要です。
特に、次のような方は、申請前に専門家へ相談することをおすすめします。
- 転職歴が多い方
- 住民税・年金・健康保険の支払いに不安がある方
- 扶養家族がいる方
- 年収が安定していない方
- 会社経営者・役員の方
- 高度専門職ポイントで永住申請を検討している方
- 過去に交通違反や届出漏れがある方
- 一度、永住申請が不許可になった方
永住許可申請は、申請人ごとの事情によって必要な説明や提出資料が大きく異なります。
まとめ
永住許可申請は、日本での生活が安定していることを入管に説明する手続です。
そのため、単に在留年数を満たしているだけでは足りず、税金、年金、健康保険、収入、在留状況、届出義務、家族構成などを総合的に確認する必要があります。
SINCERITY LEGALでは、外国人ビザ・永住許可申請に関するご相談を承っております。
永住申請をご検討中の方、不許可リスクがあるか不安な方、過去に不許可になった方は、申請前の段階で一度ご相談ください。
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永住許可申請は、申請前の準備が非常に重要です。
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